先生がいてくれるなら①【完】
「──お前さ、倉林と付き合ってるの?」
「──は?」
「校舎裏」
そう言われて、私は今日の昼休みの出来事を先生に見られていたのだと分かった。
「~~~~~っ!!」
まさか見られていたなんて!
思わず私は両手で顔を覆い、今の表情を先生に見られたくなくて必死に顔を隠した。
「ち、ちがいます、付き合ってませんっ!!!」
「へぇ? 抱き合ってたのに、付き合ってないんだ?」
「あああ、あれは、悠斗が勝手に……っ!」
「そう、それ。“悠斗”、“明莉” って、お互い呼び捨てになってるし」
「そ、そそそそれも、悠斗が……」
「──まぁ、俺には関係無いけど」
そう言い放った先生の声はとても冷たくて、私の心がチクンと痛む。
なぜか、ちょっと泣きそうになった。
「ゆ、……倉林くんとは、付き合ってませんっ……」
「ふぅん。じゃ、なんで俺に抱き合ってたの見られてたって分かって、そんなに顔を赤くしてんの?」
「赤くなんかなってません!」