先生がいてくれるなら①【完】

私が顔を隠してしまったので、先生は私が赤面しているのを隠したのだと思ったようだ。


両手で顔を覆っていた私の右手に、先生の手が触れたのが分かった。


やっぱり、とても冷たい手。


触れた瞬間、ビクッとしてしまう。


先生に右手を掴まれ、やすやすと剥がされてしまった。


私はもう片方の手で顔を隠して先生と反対の方を向いた。


先生の顔が思ったよりも近くて、心臓の動きが早くなる。


顔が、なぜか、熱い。


「付き合ってないけど好き、とか……?」

「ち、ちがいます……っ」


関係ないと言いながら、しつこく追求するのは、なんで──?


先生は私の右手を掴んだまま、私の顔を覗き込む。


先生の声が、態度が、怒りを示す。


< 163 / 455 >

この作品をシェア

pagetop