先生がいてくれるなら①【完】
先生はどういうつもりで私のことをこうやって構うんだろう。
教師がいち生徒を個人的に特別扱いするのは問題があるはずだ。
先生がそれを分かっていないわけがない。
だけどそれでも、先生にとってはきっと私は “ただの生徒” のうちの一人なんだろうけど。
でも、私は………。
この空間に先生と一緒にいることが、嬉しいけれど、とても切なくて、苦しい。
必死に耐えていた涙が、私の目からポロリとこぼれる。
それは一度あふれてしまうと、もう自分の意思では止めることが出来なかった。
「なんで泣いてんの」
私は答えない。
私の気持ちを言ってしまえば、今の関係は失われてしまうかも知れない。
そんな勇気は、今はまだ無い。