先生がいてくれるなら①【完】
黙ったまま泣き続ける私の頭を、先生はふわりと優しく撫でた。
そんな風に優しくしてくれる先生が、やっぱり好き。
きつい言葉を言ってても、その裏に優しさがいつもちゃんとある。
「大丈夫、バレないよ。バレてもお前は悪くないから」
「……違います、その事で泣いてるんじゃ、ありません……」
「じゃ、なんで泣いてんの?」
「……言いたくありません」
「言わなきゃ分かんないだろ?」
「……じゃ、一生分からなくていいです」
「お前ね、ふざけてんの? 良いわけないだろ」
先生はそう言って私の頭をまたふわりと撫で、私の頬に伝う涙を冷たくて綺麗な指で拭った。
ほら。
そんな事をするから、私が先生を好きになってしまうんだよ。
優しくされると、つらい。
でも、突き放されたらきっともっとつらい──。
一方通行の恋ってこんなにつらい事なんだって、私はこの日、初めて知った──