先生がいてくれるなら①【完】

戸惑いながら試着室へ入っていった立花だったが、着替え終えて出て来た時はちょっと嬉しそうにはにかんでいた。


──うん、似合う。


俺を見てなぜか驚いた直後に顔を真っ赤にした立花に、素っ気なく似合うと言い放って、次を試着させた。


立花が次の服に着替えている間、俺は頭の中でさっきのワンピース姿を反芻している自分に気がつき、小さくかぶりを振る。


──俺、なにやってんの?


しかし次々と試着しては恥ずかしそうにこちらを見る立花に、俺はすっかり満足していた。



うん。もう全部買う。



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