先生がいてくれるなら①【完】
うちの高校は近隣の中学・高校と行事がかぶらないように日程が組まれていて、本来秋に行われることが多い文化祭は、6月上旬に組まれている。
その関係もあって来客がとても多く、我が校の一大行事だ。
「と言うわけで、我が2年5組は、初日ステージは雄志によるダンス、模擬店はコスプレ喫茶に決まりましたー! いえ~い!!」
クラスの実行委員の男子が、テンション高めに報告する。
「ありきたりすぎる気がするんだけど、まぁ多数決で決まったなら仕方ないね」
美夜ちゃんが、うんざりした顔で言った。
「初日のステージ、美夜ちゃんはやるんでしょ?」
「もちろん! 私は運動部だからそれやんなきゃ他にやる事なくてヒマだしね。明莉もやろうよ」
「あー、私は数研のシフト次第かなぁ」
「そっか、そうだよね。じゃ、とりあえず保留ね」
ダンスはそんなに得意じゃ無いけど、テニス部を辞めてから運動することが減ったし、たまには体育の時間以外でも身体を思いっきり動かしたい。
でも今の私はハイド藤野の奴隷だし、私の気持ちだけではダンスを優先出来ないのだった……。
今日数研に行ったら色々相談しなきゃね。