先生がいてくれるなら①【完】
「おい、飲みながら寝るなよ?」
「──はい、大丈夫です……」
「大丈夫そうじゃ無いから言ってるんだけど」
「大丈夫ですってば……」
なんとか意識を保ったままゆっくりとコーヒーを飲み終えると、先生が空になったコーヒーカップを私の手から取り上げた。
「予鈴の前に起こしてやるから、ちょっと寝ろ」
「えっと、でも、部室の掃除が………」
「んなもんは今日ぐらいやらなくても大丈夫だから」
「……ん~………」
「いいから、ちょっと寝とけ」
先生はそう言って、私の頭をポンっと優しく叩く。
私は先生の言葉に甘える事にして掃除を諦め、机に突っ伏した。
「おやすみ…なさ…い……」
意識を手放す直前、先生が「おやすみ」と言いながら私の頭を優しく撫でてくれた気がするけど、夢だったの……かな。
もし夢だったのだとしたら、なんて幸せな夢なんだろう──
その後の一限目の数学は、先生のコーヒーとうたた寝のおかげで、なんとか寝ずに済んだ。
ハイド氏な先生も、やっぱり優しい──。