先生がいてくれるなら①【完】
そこへ、衣装に着替え終わった悠斗がブツブツを文句を言いながら試着用の囲いから出て来た。
「なぁ、これ、マジ面倒なんだけどー。装飾が多すぎて着替えづれぇっ」
スチームパンク風の衣装に着替えた悠斗を見た女子全員が、完全に固まってしまっている。
「うっそー! 倉林君、めっちゃカッコイイ!!」
「キャー!!」
黄色い声が教室中に響き渡る。
私の周りから女子が居なくなった事で、しゃがみ込んだ私が悠斗にも見えたようで──
「うおぉ! 明莉、すんげー可愛い!!……って、座ってたら見えねぇじゃん!」
悠斗が私の手を引っ張って、しゃがみ込んでいた私を強引に立たせた。
「うわ、何これ、エロすぎ!」
「もうっ、悠斗のバカ!」
悠斗が掴んでいるのと反対の手でなんとか胸元を隠そうとするが、悠斗がその手も悠斗にやすやすと剥がされてしまった。
「バカバカ! 手、離して!」
私は胸元を隠せなくなってしまって、顔がどんどん熱くなる。
「なぁ明莉……写真撮って良い?」
悠斗が真剣な顔をして聞いてくるが、そんなの駄目に決まってる。
「ぜ、絶対、駄目っ!!」
そこへ、今まで一度も顔を出したことが無い副担任──藤野先生が教室に顔を出した。
両手を掴まれて小さくバンザイさせられている格好を、先生に見られてしまった。
「……このクラスの出し物って、子供服のファッションショーだったっけ?」
──先生のばか。