先生がいてくれるなら①【完】
長い前髪と眼鏡で表情は見えないけど、明らかにオーラが……怒ってる……。
「えっと、……」
孝哉先生には今日のお見舞いの事は伝えていないから、間違いなく不機嫌に違いない。
あたふたする私を横目に、孝哉先生は私を無視するように助手席へ乗り込んでバタンとドアを閉めた。
あー、これは相当怒ってるわ。
「立花さん、後ろに乗って下さいね」
光貴先生が後部座席のドアを開けてくれたので、私は「お邪魔します……」と言って恐る恐る車に乗り込んだ。
光貴先生が運転席に乗り込み、車はゆっくりと発進する。
腕を組んで無言を貫く孝哉先生の後ろ姿は、表情が全く見えなくても怒っている事だけはよく分かる。