先生がいてくれるなら①【完】
私は観念して、悠斗にエスコートされながら、午前中の校内でのビラ配りを開始する。
「2年5組のコスプレ喫茶でーす、可愛い衣装や格好いい衣装を着て、皆様をお待ちしていまーす!」
悠斗のお陰でたくさんの女子達が私たちの(正確には悠斗の)周りに集まってきて、あっという間に一回目のビラ配りが終わった。
「すごいね。悠斗の人気はさすがだね」
「んー、俺は明莉ひとすじだから、他の女の子なんか興味ないよ?」
「あはは、はいはい、ありがとう」
いつもの悠斗の冗談を、私は軽く流した。
「いやいや、冗談なんかじゃないからっ」
「あはは、はいはい。二回目のチラシ、取りに行かなきゃね~」
私は悠斗の腕を引っ張って、2年5組の教室へ戻る。
──当然、二回目のビラ配りも、あっという間に配り終わった。
悠斗の人気は同学年に限らず、上級生にも下級生にも絶大だ。
「悠斗のおかげで、ビラ配りすごくラクだったね~」
しかし、悠斗はなぜかプクッと頬を膨らませている。