先生がいてくれるなら①【完】

「ぷはっ、……分かりました、私の負けです! 好きなだけどうぞ」


結局私が根負け。


「やったー。じゃあ、これ」


先生は、お弁当のおかずを指さした。


「ハンバーグですか? いいですよ、どうぞ」


私がお箸を渡そうとすると、違う違う、と言って──




「食べさせてくれるんじゃないの? はい、あ~んっ」



──はぁっ!?



私が固まっていると、先生は「早くして」と口を開けて待っている。


うそ、なにこの展開……。


私は仕方なくハンバーグを一口大にお箸で切って、先生の口元に運ぶ。


「……あむっ」


パクッと口に入れて、美味しそうにモグモグする先生。


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