先生がいてくれるなら①【完】

第3会議室に向かう途中、昇降口付近にやたら人だかりが出来ていて騒がしいことに気がついた。


何事かと覗いてみると、その中心に、見覚えのある人物が立っている。


「えっ、光貴先生!?」

「あ、立花さん!」


そう、藤野──孝哉先生の弟で研修医の、光貴先生だ。


どうやら文化祭を見に来てくれたらしい。


しかし、そのイケメンさ故に、受付とその他の女子高生に見事捕まってしまったようだ。


「いやぁ、まいりました。すごいね、女子高生パワー。立花さんに会えて良かった」

「ふふふ。光貴先生ほどのイケメンだと、そりゃ、ああなりますよ」

「兄さんには負けるけど、ね」

「いやいや、私は光貴先生の方がモテると思いますよ~」

「ありがとう、兄さんの次でも、嬉しいです」

「光貴先生、話が全く噛み合ってないんですけど……」

「あ、ここですね、数研」


昇降口からはそんなに距離は無いので、すぐに部室にたどり着いた。


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