先生がいてくれるなら①【完】
私のクラスは文系クラスだからと言うこともあって、数学が苦手な人が多数いる。
私もご多分に漏れずなんだけど、それでも完全に落ちこぼれずに授業について行けているのは先生の説明がとても上手いからだと思う。
誰かが分からなさそうにしていると必ず、更に分かりやすい補足説明を入れてくれる。
「分からないところはそのままにしておかないで、いつでもいいから必ず質問に来るように」
それが先生の口癖。
だけど、誰かがふざけて先生自身の事を質問すると必ず「プライベートな質問は受け付けていません」とはぐらかす。
その間も一切表情が崩れることは無い。
先生からも私たち生徒のプライベートに踏み込むような言動は一切無い。
生徒への線引きがハッキリしすぎていて、私には時にはそれが生徒に対する完全な拒絶にさえ見える時があるほどだ。
生徒個人に対して完全に無関心な割には数学に関してはとても熱心だし、質問すればきっと分かるまでとことん教えてくれるんだろう。
無表情で教室内を観察して、的確に淡々と授業を進める、それが藤野先生の授業スタイルらしい。