先生がいてくれるなら①【完】
「でも──」
と光貴先生は続ける。
「その格好を見たら兄さんが怒りそうだから、ほどほどで着替えてあげて下さいね?」
「あわわわわ、せ、せんせいは、もう、知ってます……」
「あれ、そうなんだ。よく許可したね?」
「う……『子供服のファッションショーか?』って言われて、バカにされました……」
「ふふっ、だめだめ、真に受けちゃ。それ、照れ隠しですから」
「と、とてもそんな風には……」
私が真っ赤になったまま俯くと、光貴先生は少しかがんで私の顔をのぞき込んだ。
「大丈夫、すごく可愛いですよ。僕が持って帰りたいぐらい」
「あわわわわ!」
予想もしていなかった光貴先生の甘い言葉に、私は思いっきり慌てふためいた。
「じゃ、立花さん、ありがとう。またね」
「は、はい、光貴先生、ありがとうございました、お気をつけて!」
光貴先生は、甘い余韻を残して去って行った──。