先生がいてくれるなら①【完】

* * * * *

文化祭準備が本格的に始まった頃──。


授業中に明らかに眠そうな生徒が増え始めた。



それは、アイツも同じで──



朝の部室掃除に来た立花は、寝不足なのかよろけながら廊下を歩いて来る。


部室の鍵も取り出せないほどの寝不足は、さすがにちょっと……。



俺は立花の手首を掴んで数学準備室に引っ張り込んだ。


「わっ。な、何するんですかぁっ!?」


有無を言わさず椅子に座らせて淹れたてのコーヒーを飲ませる。



予鈴まで寝るように言うと「部室の掃除が……」と言うので「いいから、ちょっと寝とけ」と言うと、やっと大人しく机に突っ伏した。



楽しい文化祭も、疲労で倒れてしまったら意味ないぞ、立花。



眠りに入った立花の頭をふわりと撫でた。



「おやすみ……」



そして、


もう一度頭を撫でながら、髪に優しくキスを落とした──


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