先生がいてくれるなら①【完】
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文化祭準備が本格的に始まった頃──。
授業中に明らかに眠そうな生徒が増え始めた。
それは、アイツも同じで──
朝の部室掃除に来た立花は、寝不足なのかよろけながら廊下を歩いて来る。
部室の鍵も取り出せないほどの寝不足は、さすがにちょっと……。
俺は立花の手首を掴んで数学準備室に引っ張り込んだ。
「わっ。な、何するんですかぁっ!?」
有無を言わさず椅子に座らせて淹れたてのコーヒーを飲ませる。
予鈴まで寝るように言うと「部室の掃除が……」と言うので「いいから、ちょっと寝とけ」と言うと、やっと大人しく机に突っ伏した。
楽しい文化祭も、疲労で倒れてしまったら意味ないぞ、立花。
眠りに入った立花の頭をふわりと撫でた。
「おやすみ……」
そして、
もう一度頭を撫でながら、髪に優しくキスを落とした──