先生がいてくれるなら①【完】

* * * * *

文化祭二日目。



午前中は校舎の外に設けられている一部の模擬店の見回りのシフトが入っていた。


他校の生徒や一般の客も多いため、何かトラブルが起きていないかを見回る仕事だ。


特に問題なく時間が過ぎて行き、正午になった所で他の教員と交代となった。



数学準備室に戻り、窓を空けて換気をする。


まだ6月に入ったばかりだからそんなに暑くはないが、締め切っていたので少し空気がよどんでいた。


解放された窓の外に植えられている木々が、柔らかい風にサワサワと揺れている。


木々を揺らした風が準備室の中にも吹き渡って心地が良い。



ふぅ、とため息をついた時、バタバタと走る音がして、その音が止まるや否や扉がノックされる音がした。


「はい」と答えただけで扉が勢いよく開けられ、誰かが入ってきて、そして勢いよく閉じられた。

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