先生がいてくれるなら①【完】

誰が入室してきたかは、確認しなくてももちろん分かっている。



「ねぇ。俺、どうぞとは言ってないんだけど」



不満をぶつけるように、振り返りながら立花を見た。


「すみません……かくまって下さい……」

「誰から?」

「──クラスのみんなから」

「……なんで?」

「うっ……視線が痛くて……」



思った通りだ。


そんな胸の空いた服、着てるからだろ、馬鹿たれ。



俺はため息をついて立ち上がり、滅多に着ない糊のきいた白衣を脱いで立花の肩に掛け、開け放ったままになっていた窓を閉めて冷房をつけた。


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