先生がいてくれるなら①【完】

室内は決して暑くはない。


だが、間違いなく走ってきただろうし、俺が今まで着ていた白衣を着ているのだ、暑いに決まってる。



さて、この間に書類のチェックでもするか、と机に向き直った時──





「……先生のにおいがする……」




待て待て待て!


それは反則だろ!


とんでもない爆弾を投下するんじゃない!



心臓がドクンドクンと大きな音を立てて自己主張を始める。


なんとかいつも通りの声を心がけて「いらなかったら返せ」と返事をした。


「あの、ここでお弁当食べても良いですか?」


俺の心臓がもちそうにないが、他の場所で他の男どもにこの格好をさらされるよりはマシだと思い、許可をした。


するとお礼とともに今度は「先生優しいから大好き」と言う爆弾ワードが飛び出す。


お、お前、そう言う危険な言葉をサラッと口にするなよ……。


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