先生がいてくれるなら①【完】
残すは後夜祭のみとなった。
校庭に特設されたステージでは、バンド演奏やダンスが繰り広げられている。
──全く興味が無いので、校庭には行かずに昇降口の階段に腰を下ろしてぼんやりとしていた。
そう言えば去年……この学校での初めての文化祭の時に、仕掛け花火のカップルの逸話を小耳に挟んだな。
まぁ、よくある話だ。
あんな子供だましの話に踊らされる俺ではない。
──立花は倉林と見るのか?
「やれやれ……」
俺はため息を一つついて、ゆっくりと腰を上げた。