先生がいてくれるなら①【完】
私が首をひねっていると、悠斗は真剣な表情で私の目を覗き込んだ。
「俺はさ。明莉の良いところ、いっぱい知ってるよ。明莉は自分が平凡な人間だと思ってるんだろうけど、他のやつらよりずっとスゴイと俺は思ってる。自分で気づいてないだけ。ま、そこが明莉の一番良いところなんだけどさぁ」
何のことか分からないけど、悠斗は嬉しそうに笑う。
本当ならこんな風に告白されたら赤面ものなんだろうけど、私には自分に自信がなさ過ぎて、とても本気で言ってくれているように思うことが出来なかった。
それに私は、悠斗の想いに応えることは多分出来ないよ。
だって、私は、先生の事が──。
「あのね、悠斗。私、……ごめん、好きな人がいる」
「……誰? 俺の知ってるヤツ?」
「……」
「こないだの、アイツか? 手繋いでたヤツ」