先生がいてくれるなら①【完】

「あのね……ずっとお兄ちゃんのお見舞いに行ってるの、美夜ちゃんも知ってるでしょ?」

「うん、平日は部活の無い日──火曜日と木曜日に行ってるんだっけ」

「そう。学校帰りに行くから、当然帰りが遅くなるでしょ?」

「面会時間ギリギリまでいると遅くなっちゃうよねぇ」

「余裕で面会時間ムシしてるから、いつも病院に9時前までいるんだけどさ」

「ははは、お兄ちゃんっ子だもんねぇ、ちょっとでも長く一緒にいたいよねぇ」


最初は面会時間を守らない私に退出するように声を掛けてきた看護師さん達も、今では諦めたのか何も言わずに「仕方ないわねぇ」なんて笑いながら黙っててくれてる。


「実はずっと、その人が病院に迎えに来てくれて、家まで送ってくれてる」

「え、えぇっ!?」

「ちょ、声、大きいっ」

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