先生がいてくれるなら①【完】
ここは教室で、クラスのみんなもそれぞれ昼食をとっている。
美夜ちゃんの声に一部のクラスメイトが私たちの方に注目した。
美夜ちゃんが「あ、みなさ~ん、大声出しちゃってごめんなさ~い」と言って舌をペロリと出すと、みんな苦笑いしながら元の昼食風景へと戻って行く。
美夜ちゃんはみんながもう注目していない事を確認してから、内緒話をするように声を潜めた。
「明莉っ、それって、もう付き合ってるって言わない?」
「言わないでしょ。そもそもどっちからも告白してないし」
「じゃあなんで毎回送って貰うことになってんの?」
「それが……女子高生がウロウロする時間じゃないって言われて……」
「9時かぁ。でも理由があるならそんなに遅くもないよね? 塾だって普通にそれより遅くなるしさ」
「でしょ? なのにさぁ、めちゃくちゃ怒られたんだよね。『お前はバカか』って言われて」
「──愛されてるねぇ」
美夜ちゃんはニヤニヤと笑っている。
私は咀嚼が不十分だったから揚げを、思わずゴクンと飲み込んでしまった。
「……っ、ど、どの辺がっ!?」