先生がいてくれるなら①【完】

「えー? だって、好きでもない女の子だったら夜ひとりで歩いてても気にならないじゃん。それ、好きだから心配してるんでしょ?」


「は? 心配の要素、かけらも感じたこと無いよ!? いつもアホとかバカとか頭悪いとかしか言われないよ!? どの辺が “好き” なのか、そんなの微塵も……」


「あはははは! 明莉、ほんと愛されてるねぇ~」


そ、そんなに爆笑しなくても。


……って言うか、全く理解出来ないし。


「明莉はさぁ、明莉のお兄ちゃんが優しすぎるから男の人のこと分かってないんだよ。うちは上も下も明莉んちと違って粗暴な男兄弟だからさ、そう言うのよく目にするよね~」


「そう言うの、って?」

「好きな人ほど、気を引こうとしていじめちゃうの。私からはその人もそう見えるけどな」

「うーん、そうかなぁ……」


首をひねる私に、美夜ちゃんは「そうだよ」と言って笑う。

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