先生がいてくれるなら①【完】
「……驚くよね、やっぱり」
「そ、そりゃそうじゃん! え、待って、藤野って数学の藤野で合ってる? 他に藤野って教師いたっけ?」
普段は先生の名前を呼び捨てにしない美夜ちゃんが、混乱しすぎて呼び捨てにしてるのが面白い。
あたふたする美夜ちゃんも可愛いな。
──うん、お嫁に欲しい。
「数学の藤野って確か『人畜無害の数学オタク』って言われてなかったっけ!?」
「うん、言われてる」
「なんか全然、明莉が言ってる人物像と重ならなくない!?」
「二重人格だもん。裏の顔は鬼畜で暴君だよ。私なんて完全に下僕扱いだもん」
「えーっ!? ごめん全然想像つかない……」
混乱するよねぇ、実際見たわけじゃ無いし。
私だって最初は誰か分からなかったし、分かってもしばらくは信じられないでいたし。