先生がいてくれるなら①【完】
「え。待って。でもそしたら、先生が病院のお迎えに来てくれてるって事?」
「うん、そうだね」
「それって……良いの? 大丈夫?」
「それなんだよ……学校に知れたら多分アウトだよね」
「うわぁ……だからか、明莉がなかなか相手が誰か言い出せなかったのは」
美夜ちゃんは「やっと腑に落ちたよ」と言って、ストンとベンチに腰を下ろした。
「黙っててごめんね」
「ううん……これはなかなか言えないよね……。そっか、藤野先生かぁ」
「うん……」
「ところで、藤野先生って、そんなにイケメンだっけ?」
「んー、前髪上げて眼鏡外して普段着の時の先生は、モデルさんみたいに美人だよ」
思い出しながら思わず顔が緩んでしまう。
「ちょ、明莉、顔にやけてる! しかも “美人” って!」
「前に美夜ちゃんに言われたけど……あれは詐欺師だね。お金は要求しないけど、完全に人を欺いてる」
「明莉……」
「あぁ~~~、なんであんな人好きになっちゃったんだろう」
「そっか、先生と生徒だと、ハードル高いね、年の差もあるし……」
私が先に進めない理由を美夜ちゃんは理解してくれたようだった。
告白しても、どうにもならない関係。
教師と生徒──。