先生がいてくれるなら①【完】

今学期を振り返ってとか、二学期の予定とか、夏休みの課題──なんて連絡される長いホームルームの最中、教室の扉が勢いよくガラリと開けられ、副担任の藤野先生が入ってきた。



普段は授業以外では滅多にクラスに顔を出さないから、みんな少し驚いている。


担任の福原先生に一言二言話した後、藤野先生はこわばった表情で私の方を見た。


「立花、ちょっと……」


私は担任と藤野先生の前に立つと──




「病院にいるお母さんから連絡があった。荷物を持って今すぐ病院行きなさい」




藤野先生は、他の生徒になるべく聞こえないような小さな声で言った。


< 296 / 455 >

この作品をシェア

pagetop