先生がいてくれるなら①【完】
今学期を振り返ってとか、二学期の予定とか、夏休みの課題──なんて連絡される長いホームルームの最中、教室の扉が勢いよくガラリと開けられ、副担任の藤野先生が入ってきた。
普段は授業以外では滅多にクラスに顔を出さないから、みんな少し驚いている。
担任の福原先生に一言二言話した後、藤野先生はこわばった表情で私の方を見た。
「立花、ちょっと……」
私は担任と藤野先生の前に立つと──
「病院にいるお母さんから連絡があった。荷物を持って今すぐ病院行きなさい」
藤野先生は、他の生徒になるべく聞こえないような小さな声で言った。