先生がいてくれるなら①【完】

お兄ちゃんがこの世から去って行った次の日は、一学期の終業式だった。



私は始業式を忌引きでお休みしてしまったので、通知表やら夏休みの課題なんかを受け取れずにいる。


担任の福原先生から電話がかかってきて、落ち着いたら一度学校に来るようにと言われた。




私はここ数日、お兄ちゃんの部屋で膝を抱えて座っている事が多かった。


もうお兄ちゃんに会えないんだと思うと、悲しくて、苦しくて。


とにかく、泣いて泣いて。


こんなにも人は涙を流し続けることが出来るものなのかと思うぐらいに──。




そんな日が一体どれぐらい続いただろう。


最初は涙が止まらなかったけど、今はもう涙はあまり出ない。


今はただただ、──喪失感の方が大きかった。



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