先生がいてくれるなら①【完】

私は立ち上がり、自分の部屋へ、ある物を取りに行った。


それは、大学一覧の冊子。


私はパラパラとそのページをめくる。


今までは見向きもしなかった学部を調べ始めた。



そして──

一つの学科が目にとまる。



今からなら、もしかすると間に合うかも。


まだ二年生だ。受験までまだもう少し時間がある。



私は少し考えて、スマホを手に取る。


思い切って、スマホに登録されているある電話番号に電話をかけた。


長く感じるコール音。


1回、2回、3回……

5回目のコールで、相手が出る。


「あっ、先生! 立花です!」

『ん、どうした?』


藤野先生の、声──。


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