先生がいてくれるなら①【完】


「失礼しま~す」


職員室の扉を開けると冷房のひんやりと気持ちの良い風が流れてきた。


冷気が逃げないように、慌てて中に入り扉を閉める。


「2年5組の立花です、藤野先生はいらっしゃいますか?」


入り口近くに座っていた先生が藤野先生を呼んでくれる。



先生は何食わぬ顔で私の前に立った。


「どう、少しは落ち着いた?」

「はい、一応。あの、その節はありがとうございました」

「うん。で、今日はどうしたの?」


はい来た。例のくだりをもう一回ね。


「えっと、進路の相談で来ました。数学に関する話なので、藤野先生に聞いていただきたいです」


私はそう言ってペコリとお辞儀をする。

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