先生がいてくれるなら①【完】
「分かった。ここじゃ他の先生方の邪魔になるから、準備室に行こうか」
と、先生は自然な流れで準備室へといざなう。
──策士め。
職員室を出て数学準備室へ向かう。
先生が私の通知表を持っているのが見えて、ちょっと憂鬱になった。
「せんせー、それ、通知表……」
私が小さな声で言うと、先生は首だけで振り返りながら悪い微笑みを顔にたたえていた。
「あ、やっぱり楽しみにしてた? 俺が今から素晴らしいお説教をしてあげるから、そっちもお楽しみに」
「うっ、やめて下さい、今日は私の話を聞いて欲しいです……」
「聞いてあげるよ、もちろん」
先生は準備室の扉の鍵を開けながら不敵な笑みを漏らした。
「はい、どうぞ、説教部屋へ」
「う、地獄部屋……。失礼します」
「はい、座って」