先生がいてくれるなら①【完】
「明莉、なんか今日荷物多くない?今日って体育あったっけ?」
私の大きな荷物を見て、美夜ちゃんはちょった焦った表情をした。
「ごめん、違うんだ〜。これ、お兄ちゃんの着替え」
「あ、そっか。入院中だもんね。今日はそのまま帰らずに病院に寄るんだ?」
「ん。ちょっとでも一緒に長く居たいから」
「お兄ちゃんっ子だね〜」
あはは、と笑う美夜ちゃん。
仕方ない、うちは両親が共働きだから、小さい頃から私とお兄ちゃんとで色々協力して来たって言うか……
小さい頃はお兄ちゃんが私の面倒を見てくれてたんだもん。
「どう?お兄さんの具合」
「んー、あんまり良くはなってないかなぁ」
「そっかぁ。ちょっとでも良くなると良いね」
「うん、ありがと」
私には4歳年上の兄がいて、半年ちょっと前から病気で入院している。
とても難しい病気で、治るかどうか分からないらしい。
お兄ちゃんは「明莉が来てくれると、すごく楽になるよ」って言ってくれるから、私は少しでも長くお兄ちゃんのそばにいと思ってしまう。
何も力になれないけど、そばにいたいんだ──。