先生がいてくれるなら①【完】
* * * * *


「じゃ、また来るね、お兄ちゃん」

「明莉、いつもありがとうな」

「ううん。私がお兄ちゃんに会いたいから来てるんだから、お礼なんて言わないで」

「ん。……もう外は暗いから、気をつけて帰るんだぞ」

「大丈夫だよ、バスに乗ればすぐだから。じゃあ、またね」


バイバイ、とお互い手を振って、私は病室を後にした。



はぁ……、お兄ちゃんの顔色、あまり良くなかったな……。



私に笑いかけてくれる笑顔は無理しているようには見えなかったけど、正直言って前より少し元気がなかったと思う。


重い気持ちで病院を出る。


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