先生がいてくれるなら①【完】
文系から理系へ進路変更をした立花に化学の特別課題を出したのは良いが、やはり文系の立花には少々問題が難しかったらしく、ウンウン唸りながら死にそうな顔をしている。
こんな状態で勉強しても全く身に入らないだろうなぁ。
それにしてもこの暑いのに冷房もつけず、よくやるわ……。
俺がいる準備室で一緒にやるかと聞いたら、なんか変な “間” の後に「行かない」とか言うし、コイツほんとにふざけてる。
今日はもう終わりにして、また仕切り直した方が良さそうだ。
俺は立花に「帰れ」と言って無理矢理部室を追い出した。
不満そうにしてるが、このまま続けたってどうせ先に進まないのは目に見えてる。
【後で家まで迎えに行くから、外出許可取っておくように】
俺は準備室に戻るとすぐに、携帯からそうメッセージを送った。
嬉しそうな立花の顔が脳裏に浮かんでしまうあたり、俺もそうとう重症だな──。