先生がいてくれるなら①【完】
「キリの良い所までやったら、今日はもう終わり」
私の耳元で言うものだから、私は手に持ったシャーペンをポロリと落としてしまった。
──み、みみみ、耳元で、囁かないで下さいっ!!
私は、頬も耳もカーッと熱くなり、心臓がバクバクしはじめた。
そんな私の反応を見て先生は「ん? 返事は?」って、もう一度、多分わざと、耳元で言う。
「っ、はいっ」
「あとどれぐらい?」
「えっと、あと二問で、終わります」
「んじゃ、終わるまでここで見てるから」
先生は空いている椅子を私のすぐ隣に持ってきて、私の肩と先生の肩が触れそうなほどの極至近距離に腰をかけた。