先生がいてくれるなら①【完】
でも……確かに先生の言うとおりかも知れない。
せっかく大好きな先生と一緒にいるのに、俯いて黙ったままなんて勿体ないにもほどがある。
だけど改まって “何か話す” ってなると、一体何を話せば良いのやら。
──あ、そう言えば、私、今日の待ち合わせの後から今まで、まだ言えてない一言があった。
それ、いま言っても大丈夫かな。
と言うかもう話題はそれしか思いつかなくて……。
「あの、先生」
私の問いかけに「ん?」と言ってほんの少し首を傾げるその仕草が、また私の胸を射貫く。
「あの、い、言いそびれてたんですけど」
「うん」
「あの、先生、浴衣とっても似合ってて格好いいです……」