先生がいてくれるなら①【完】
う……。
特に何も変な事を言ったりはしていないはずなんだけど。
ごく当たり前の事を言っただけなのに。
先生だったらこれぐらいの事、言われ慣れてるはずだし。
むしろ言うのが遅すぎた?
え。待って、そっち?
それで怒ってるの?
どうしよう、とあたふたしてると、私の後ろに置かれていた先生の左手が私の肩をそっと抱き寄せた。
先生に寄りかかるようになって、先生と触れ合っている部分がさっきよりずっと多くなる。
先生の体温が薄い浴衣越しに伝わってきて、身体全体をその熱が支配する。
ますます近づいた顔は少しでも動けば触れてしまいそうな距離。
私が緊張で身体を硬直させていると、先生は私の頭に自分の頭を横からこつんとくっつけて「お前はホントときどき恐ろしい爆弾落とすよなぁ」とため息と共に呟く。
先生の言葉の意味がよく分からなくて「え?」と硬直したまま答えると、「うん……分からなくていいよ」と言って、肩を抱く腕に少し力を込めた。