先生がいてくれるなら①【完】
夏祭りの会場がある駅に着くと、改札の向こうは人でごった返していた。
案の定、人波に流されそうになる立花。
俺はすぐに手首を掴んで引き戻す。
しかし……相変わらず細い腕してるなぁ。
ちゃんと食ってんのか?
いや、俺よりちゃんとしたもん食ってるのは分かってるけどさ。
ホント、雑に扱うと折れそうだよなぁ。
そんな事を考えながら、人波に流されないように立花の手をギュッと握って歩き出した。
恥ずかしそうに俯く立花がやっぱり可愛くて、思わず口元が緩む。
立花は、一度チラリとこっちを見て、また俯いてしまう。
こっち見て欲しいんだけどなぁ。
ギュッと繋いでいた手を少し緩めて、立花の指を俺の指で絡め取る。
再び恥ずかしそうにもじもじする立花の顔を覗き込むと、耳まで真っ赤になった立花が慌てて俯いた。
駄目だ、もう何を見ても可愛すぎる……。
俺、そうとう重症だな──。