先生がいてくれるなら①【完】
一通り屋台を見て回り、立花が食べたそうにしてるものを買って二人で食べた後、花火を見るために河川敷へと移動した。
既に多くの人が場所取りをしていて、二人で座れる場所を探す。
座る場所があまり広くない方が良いから、これぐらい人が多いのは有り難い。
なんとか二人でギリギリ座れるぐらいの場所を確保した。
二人で座ると、ちょっと触れ合うぐらいの微妙な距離感で……。
この近さが心地良いと思っていたのは俺だけなのか、立花は恥ずかしそうに俯いてしまって全くこちらを見なくなってしまった。
おーい、こっち向け~。
立花の頬をツンツンと指で突いても、無反応。
なんだ、人形か、人形になったのか、お前は。
反応が無いので今度は頬の肉をむにっとつまんだ。
おお、やわらかい。つまみ放題だ。
やめてと言うが、お前も下向くの、やめろ。
「俺といる時、黙るのと俯くの禁止」
俺がそう言うと「だって……」と言い訳を始めそうになるが、言い訳なんかしたって駄目。
「せっかく一緒にいるんだから」と思わず本音を呟くと、立花はやっとこっちを向いた。