先生がいてくれるなら①【完】
しかし──俺はコイツが爆弾魔だと言うことをすっかり失念していた。
話し始めたは良いが──
「あの、先生、浴衣とっても似合ってて格好いいです……」
──は?
待て待て。
誰がそんな爆弾落とせって言った?
確かに「話をしろ」とは言ったけど、そんな爆弾発言をしろとは断じて言っていないぞ、俺は。
「何か変なことを言いました?」
いや、言ったよ、言った。
変、って言うか──
「お前はホントときどき恐ろしい爆弾落とすよなぁ」
ため息しか出ねぇわ。
肩を抱き寄せて、頭をコツンとくっつける。
俺の言葉の意味が分からない立花が意味を問うように声を出したが「分からなくていいよ」と呟いて、肩を抱く腕に少し力を込めた。
もう、今日はずっとこのまま、抱きしめていよう。
お前が爆弾落とすから、俺も止められなくなった。
大人しく隣に座って見るはずだったんだけどなぁ。
まぁいいか。
──あぁ、幸せすぎて、目眩がする。