先生がいてくれるなら①【完】
華やかに激しく上がった花火が夏祭りの終わりを告げ、俺たちは帰りの電車の中だった。
たくさんの人でギュウギュウ詰めの車内、なるべく立花を庇うようにして立っている。
「大丈夫か?」
押しつぶされてないか?
ほとんど身動きが出来ないせいで、俺の肩の下あたりに額を押しつけるようにして、俺の問いに小さく頷いた。
目の前に立花の白くて綺麗なうなじが見え、俺は思わず目を逸らす。
駄目だろ、これ。
好きな女のうなじを目の前で見せられて欲情しない男がいたら、今すぐお目にかかりたいわ。
ほぼほぼ拷問に近いので、俺はそこから目を滑らせて窓の外に視線を移した。
──ポツっ
「あ……」
雨……。