先生がいてくれるなら①【完】


体育館での始業式を終えて教室へ戻る途中、美夜ちゃんから夏休みの報告を求められた。


「夏休み中ほとんど藤野先生と一緒にいたんでしょ? ね、何か進展あった?」


美夜ちゃんは部活が、私は勉強が忙しくてスケジュールが合わず、夏休みの間に美夜ちゃんと会えたのは1回だけだった。



「あー、えっと。進展って言うか……先生が大学生の時にバイトしてたお店に連れて行ってもらったのと、……夏祭りに一緒に行きました」



誰かに聞かれたら困るのでなるべく小声で簡潔に報告すると、美夜ちゃんは興奮したように「すごいじゃん!」と言いながら私の背中をパシンと叩いた。



「それってほぼデートじゃない!?」

「うーん……先生が何を考えて連れて行ってくれたか、よく分かんない」


「いやぁ、完全にデートでしょ!」

「そうだと嬉しいんだけど。でも連れ出してくれる時ってだいたい私が勉強に行き詰まってる時だし……」

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