先生がいてくれるなら①【完】
先生に思いっきり睨まれながら、私は部室を見回した。
「えええ~っっと、掃除用具とかは、どどど、どちらにっ!?」
「掃除用具はそのロッカーの中。まぁ、そんなに汚れるわけでもないから、適当で良いよ」
適当で良い、であって、やらなくて良い、では無いんですね。
──と言う私の心の声は、絶対に漏らさないようにする。
「あの、掃除って放課後じゃなきゃ駄目ですか?」
「ん? いや、部活動中じゃなければいつでも良いけど」
「じゃあ、朝でも良いですか?」
「早く来てまでやる事じゃない気もするけどね」
「いえ、私、登校が早いんで、朝だと毎日来れるから助かるんですけど」
本音は、放課後はお兄ちゃんの着替えを持ってお見舞いにも行きたいから、なんだけど。
「……分かった、それで良いよ。後で部室の鍵を渡すから」