先生がいてくれるなら①【完】
藤野先生に脅され──もとい、勧誘されて数研のマネージャーになった翌朝、私は親友の美夜ちゃんに数研に入部した事を報告した。
「えっ、数研!? 明莉、数学苦手だよね?」
うっ。やはり親友。そこを突きますか。
「まぁね……やむにやまれぬ事情があって……」
「ああ、そう言えば昨日、藤野先生に呼び出されてたっけ」
美夜ちゃんの記憶にも、私の授業中の白昼夢事件は残っていたようで。
「でもさ。マネージャーって、正直、何するの?」
ですよね。
私だってナゾだわ。
「た、多分、部室の掃除とかの雑用じゃないかな……」
「そんな事のために? 部員にやらせりゃいいじゃん」
「……だよねぇ」
校門をくぐり、昇降口前で私はテニス部の朝練がある美夜ちゃんと別れる。
「朝練、頑張ってね。私も掃除頑張って来る……」
「ありがと。明莉~、適当にやるんだよー」
「あは、りょーかい」
美夜ちゃんは元気にテニスコートへと駆けだして行った。