先生がいてくれるなら①【完】

数研の部員は、三年生が3名、二年生が5名。


今は4月下旬で、ちょうど新入生の仮入部の季節。


毎年男子しか入部して来ないので、今年こそは、と意気込んでいると言う事らしい。



たとえ数学に興味があっても、部員の男子全員が『ザ・数学オタク』だから、女子にとってはかなりハードルが高いと思うなぁ。



──と言う心の声は、もちろん絶対に漏らさないようにした。




当然の事ながら、部員全員が理数系のクラスの人。


私は文系クラスなので、同学年の二年生部員も実は知らない人ばかりだった。



「ところで立花さんって、なんでうちのマネージャーなんかになったの?」


そう声をかけて来たのは、2年3組の市橋君だ。



「あー、えっと……」



本当のことを言うとハイド藤野先生に闇に葬られかねない──


いえ、藤野先生に評価を1にされかねないので、間違っても本当のことは口にしてはいけない。


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