先生がいてくれるなら①【完】

「ごめんね、おまたせしました。僕、いまちょうど休憩時間中で、少し気分転換をするために1階の自販機にコーヒーを買いに来たんだよね」


「そうなんですか。……えっと、先生の……」


「あぁ、そうそう、それ。“先生” って、兄弟でどっちも “先生” だからね、どっちの藤野先生かって話になっちゃうよねぇ?」


その人はクスクスと笑う。


「僕はね、コウキ、って言うの。兄は、タカヤ。だから僕のことは光貴先生って呼んでくれると分かりやすくて良いんだけど、どうかな?」


「は、はい、分かりました。そう呼ばせていただきます」

「うん、ありがとう」


光貴先生、すごく優しい人という印象だなぁ。



もちろん、先生──孝哉先生が優しくないわけじゃないんだけど……二人は似ているようで、やっぱり少し雰囲気が違う。


< 83 / 455 >

この作品をシェア

pagetop