先生がいてくれるなら①【完】


「──おい、なんで立花が、光貴と一緒にいるんだ?」




聞き覚えのる声に驚いて顔を上げると、私の目の前には先生──孝哉先生が立っていた。


「えっ!? 先生!?」


「思ったより遅かったね。あんまり遅いから、話がはずんで、もうちょっとで兄さんのあれやこれやを暴露する所だったよ?」


「……お前なぁ」


孝哉先生は、光貴先生を鋭い目つきで思いっきり睨んでいる。


「さて。立花さん、お迎えが来ましたから、今日はこの辺で。僕の休憩に付き合ってくれてありがとう。またね」


光貴先生はそう言って手を差し出したので、私も急いで手を出して握手をした。


「は、はい、こちらこ、そ………?」



んっ? お、お迎え? 光貴先生の?



私の脳ミソはかなり混乱しているらしく、光貴先生の手を握ったままフリーズしてしまった。



「いつまで握ってる気だ。帰るぞ、立花」



孝哉先生の声で我に返り、パッと光貴先生の手を離す。


孝哉先生はなぜかとても不機嫌そうな顔で、光貴先生を睨んでいた。



< 85 / 455 >

この作品をシェア

pagetop