先生がいてくれるなら①【完】
「あはは、分かりやすくていいね。じゃあ、ちゃんと送って貰ってね、立花さん」
──へ?
じゃあ、さっきどこかに電話していたのは、お兄さんである孝哉先生で、私を送らせるために呼んだ、と言うこと……ですか……?
「立花、行くぞ」
私は光貴先生にぺこりと頭を下げ、背を向けて歩き出す孝哉先生を慌てて追いかけた。
「……先生、ま、待って下さいっ」
「お前なぁ。今何時か知ってるか?」
「えっと、夜の9時です」
「……お前の学習能力の低さは、ほんと尊敬に値するな」
──いえ、私は先生の口の悪さを尊敬しますよ……。