先生がいてくれるなら①【完】

「──先生がとんでもなく頭が良いのは、授業を受けてるだけでもだいたい分かりますから」



なにコイツ。


そう言うことをサラッと言う辺り、ほんと怖い。


こいつとはあまり準備室の外では話したくない……。



しかも、俺の家族の話まで聞き出すとは、こいつのわけの分からない話術にすっかり罠にはめられた気がする……。




はぁ、疲れた──。




眼鏡を外すと、立花は俺の眼鏡に度が入っていない事に気づいた。


目は悪くないから、と言うと「芸能人みたい!」と笑うので、ムッとして思わず睨んでしまった。


それで怯んでくれれば良いものを、立花は俺を見て「えっ」と呟き、なぜか一瞬固まる。


なんだ?


執拗に俺の目を覗き込む。




──あぁそうか、俺の目の事、気付かれたか。



と言うか、すっかり忘れてた。


それを隠すための眼鏡と前髪だったのだが……コイツの前で眼鏡を外したのは間違いだったな。


コイツといると、ほんとペースが狂う。



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