先生がいてくれるなら①【完】
立花は──いや、光貴は、どこまで俺の事を立花に話した……?
あぁ、なんだかムカムカする。
光貴が握手を求めて手を差し出すと、立花も律儀にそれを握り返した──まではいいが、何か引っかかる事があったらしく、光貴の手を握ったまま止まっている。
「いつまで握ってる気だ。帰るぞ、立花」
相変わらず危機感のない立花に、俺は心底イラついた。
男が求める握手なんざ、手を握りたいだけに決まってるだろ。
──ホントにバカなのか?
俺があからさまに不機嫌な顔をすると、光貴はそれを見て満足そうに笑った。
光貴の思うつぼ、って事か。くそ。
我が弟ながら、ホント食えないヤツだ。