雪と少女と執事と令嬢
シルビアは沸かしたお風呂に入っていた。先にスウさんに勧めたのだが、連絡しないといけないとのことだ。お湯に浸かりながらさぞかし綺麗な奥さんがいるのだろうなーと子供ながら考える。お母さんの代わりみたいになってくれたらいいのにな〜と考えながら今日の疲れを癒しながら身体の芯から温まる。前世の知識をぼやーっとだが思い出していた。16才だとどのくらい働けたらいいのだろう。今の工場だと、ぶっちゃけ魔法を使って生み出すだけなのであまり年相応にとは考えたことはなかったが、新しい仕事先ではそういったことにも気を配らなければならないかもしれない…

その頃、スウは悶えていた。くぅー、やっと!やっと巡り合えた上に、わたしのもの、いや言い換えようわたしのお嬢様になってくれるとは!!自由自在に金属を変形させられる魔法にさらに私がいろんな魔法を教えて、着飾って!四六時中一緒にいられるとかんがえたら!!にやにやがとまらない…!さっきはよく表情を保てたと自分を褒めたい!いや、もしかしたら少し漏れ出ていたかもしれないが!屋敷に連絡…いやいいだろう…今仕えているわがままなわたしの顔だけしか興味がないルドリアから早く解放されたい…せっかくのいい気持ちが嫌な気持ちになってきた…屋敷の主人にもう一度念のために連絡をいれなければと重い腰を上げた…ここさえ踏ん張れば…わたしの理想郷はすぐそこだ…腰が軽くなる!携帯を開いて打ち込む
"御主人様、ご報告いたします。養子の件ですが、とても良い人材が見つかりました。このお方の元ででしたら、文句なくお屋敷に末長くお仕えする所存です。今日は獲得のため、外で夜を明けさせていただきます。ルドリアお嬢様のことは屋敷の使用人の方にお任せいただけますと幸いです。何卒お願いいたします。"
とこんなものでいいだろう。シルビアお嬢様が湯あみから戻られたようだ。少し髪が濡れた姿もなんと麗しいことか…早くお嬢様が浸かっていたと思われる湯船に浸かって堪能しなくては…変態と思われてもいい…今日だけだ…今日で最初で最後なのだから、神さま許して欲しい…
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